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ダム湖底の遺構 笠神発電所
ダム湖底の遺構 笠神発電所_f0091955_0412192.jpg
新成羽川ダム


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田原ダム湖底に沈む笠神発電所の遺構


ダム湖底の遺構 笠神発電所_f0091955_0315118.jpg
田原ダム 正面


2011.5.26、田原ダムの湖底に沈んでいる笠神発電所の遺構が覗いているということを教えてもらいまして、大雨の中撮影に行ってきました。上流の新成羽川ダムと下流の田原ダムに挟まれたダムの底に、堰堤と一緒に沈んでいるというか永久保存されています。

新成羽川ダムと田原ダムは揚水式水力発電のダムです。揚水式の発電というのは、日中ピーク時の電力不足を緊急応援的に補うために活用されるのが主目的です。原子力発電や火力発電は、運転開始から電力供給開始までに時間がかかるのに対し、水力発電は電力供給指令が出てから実際に送電するまでの時間が比較的短くて済むという原理に基づいています。
揚水式というのは、一般に上池と下池があります。通常は、余った電力を使って、夜のうちに下池から上池にポンプで水を戻して翌日に備えておきます。電力がピークを越えそうになったとき、上池から水を流して発電します。ですので、朝は、上池は満水、下池の水位は下がっているのが普通です。
成羽川の場合、上池とは新成羽川ダムのダム湖である備中湖、下池とは田原ダムのダム湖です。ですのでこの遺構を見るためには、田原ダムのダム湖の水位が下がっている朝イチが一番よいと思います。それでも通常はなかなか見ることが出来ないのではないかと思います。



さてここからは、直接取材をしたのではなく、ネットで調べた情報なのですが、
この笠神発電所は岡山県内初の水力発電所とのことです。ベンガラで有名な吹屋の鉱山(吉岡鉱山)で必要な電力を発電供給するために建設された第一発電所です。第二発電所もありまして、田原ダム下流約2km、県道33号の道沿い西側に存在しました(現存は取り壊されています)。地名から「井川発電所」と呼ばれていました。
水力発電は、発電所と取水のための堰堤がセットになっている場合が多いですが、数キロ離れている場合も珍しくありません。笠神発電所の堰堤(取水設備)は発電所遺構と仲良くダム湖の中ということです。井川発電所の堰堤(取水設備)は、笠神発電所の近くに遺構として残っているようです。


2019.1.15 追記---------------------------------
井川発電所(大正6年竣工)に関する情報をお寄せいただきました。

「吉岡鉱山は電力の需要増大にかんがみ、さらに水力発電所の新設を計画した。・・(中略)・・笠神発電所放水口付近に取水口をつくり、隧道で平川村井川の二又瀬に水を引き・・(以下略)」

以上、昭和47年発行の『備中町史』より--------------



そんな古き時代のことを脳裏に浮かべながらも、現在この目で見ることが出来るのは新成羽川ダムという、アーチ式重力コンクリートダム堤高日本第一位の重厚な建造物です。これも堰堤ですので発電所とセットになっています。新成羽川発電所というのは、実はこのダムの地下にあります。いくら探しても見つかりません。田原ダムのそばには、地上に田原発電所があるから判りやすいですね。

ダム湖底の遺構 笠神発電所_f0091955_282924.jpg
新成羽川ダム このエプロンが新成羽川発電所の屋根



ここで気になることが浮かんできます、新成羽川発電所があるのなら旧成羽川発電所というのはあるのか、
はたまた湖底の笠神発電所が旧成羽川発電所なのか?、

ダム湖底の遺構 笠神発電所_f0091955_0412678.jpg
旧成羽川発電所の遺構


旧成羽川発電所というのは実在しました。場所は上述した井川発電所のそば、黒い外壁の怪しい館のような建造物が現存しています。では旧成羽川発電所の堰堤(取水設備)はどこにあるのか?、これはよくわかりませんでしたがどうやら広島県にあるようです。国道182号線のそばに帝釈川発電所と言うのがありますが、どうもそのあたりに堰堤があったようです。






2019.1.15 追記---------------------------------
成羽川発電所に関する情報をお寄せいただきました。

「当初の計画では法谷であったものが大正14年8月には笠神付近となり、のち大正15年3月には工事進行中に井川発電所に接して建築することになった」

以上、昭和47年発行の『備中町史』より--------------

法谷集落は現在は水没してしまいましたが、位置的には新成羽川ダムの上流、佐原目の対岸辺りです。笠神は新成羽川ダムよりも少し下流になります。下記URLは、国土地理院が1967年に発行した地形図です。辛うじて「法谷」の文字が読みとれます。
https://mapps.gsi.go.jp/contentsImageDisplay.do?specificationId=1370061&isDetail=false



笠神発電所と井川発電所は、鉱山の電力をまかなうための民間発電所でした。それに対し、新・旧成羽川発電所、田原発電所、さらにその下流の黒鳥発電所、これらは中国電力の発電所で、元はといえば倉敷~水島の工場地帯で必要な電力を供給するために開発されたと聞きます。いずれにしても成羽川、多くの人々、産業発展のために活躍している歴史と現実に思いを馳せながら、探索してみるのは面白いのではないかと思います。



by cantam | 2011-07-14 01:58 | ・近代建造物
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岡山県を中心に広島東部と兵庫西部、及び鳥取全域とその近隣を撮り歩いた撮りおろし写真帳です。主に自然風景と建造物を撮っています。

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